アスベスト(石綿)の処理を専門的にしておりますが、最近、大阪地裁が泉南市のアスベスト訴訟で国側の責任を認める判決を出しました。当然でしょう。建築物の耐火・断熱・防音・防湿等の為に使用されてきた建材ですが、空気中に飛散した繊維を吸い込むと肺がん・中皮腫・石綿肺をおこす原因となります。発症まで比較的(20~30年)の潜伏期間がありますので、「静かな時限爆弾」とも言われています。
現在では、国・地方公共団体・学校等、公共の建物では除去等の処理は行われておりますが未だ未着手の建築物もあるものと思われます。しかし民間の建築物(マンション・ホテル等)はほとんど手つかずであると思われます。アスベスト(石綿)の使用場所としては、構造鉄骨、電気・機械・ボイラー・空調機室、エレベータースペース・エレベータ機械室等に吹付け材として施工されています。特に昭和37年~45年頃に建設されたそれらの建物には使用されているものと思ってもいいでしょう。数年前に西日本のY県の老舗ホテルの機械・空調機の吹付け建材の試料採取・分析を頼まれて見聞したところ鳥肌の立つような状況を見ました。使用されているのは、クロシドライト(青石綿)でアスベストのなかでは一番毒性の強いものでした。
壁、天井に吹付けられた青石綿が経年劣化して剥離、落下し、人が歩くたびに空中にその繊維が浮遊しているような状態でした。当然中で働いている人はかなりの量を吸引しているでしょうし、客室に宿泊しているお客さんも空調機室から送られている冷・暖気を吸い込んでいると思います。その後、アスベスト(石綿)を処理したとは聞いていませんので、おそらくそのままでしょう。あのホテルには絶対泊まりません。
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